掌蹠膿疱症
【はじめに】
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひらや足のうらに、膿(うみ)がたまった小さなぶつぶつが繰り返しできて、赤くなったり皮がむけたりする病気です
膿の中には菌はないので人にうつすことはありませんが、かゆみや痛みを伴うことも多く、見た目にも気になり、日常生活に支障が出る方も少なくありません。
治りにくい手荒れや足水虫と思い込まず一度ご相談ください。
【掌蹠膿疱症とは?】
掌蹠膿疱症は、ウミが溜まった小さな水ぶくれ(膿疱)が、手のひらや足の裏に、数多くみできて、良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。
うみ(膿疱)は細菌感染が原因ではなく無菌性で、アレルギーなど免疫が関係しており、感染症ではないので、他人にうつる心配はありません。
膿が乾くと皮がむけ、赤くただれることもあり、繰り返し再発し、数か月~数年にわたり続くこともあります。
【どんな人に多いの?】
掌蹠膿疱症は、30~50代の女性に多いといわれていますが、男女どちらにも発症します。
発症に関係しやすい要因
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喫煙習慣:特に強い関連が知られています
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扁桃炎や歯周病などの慢性感染
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金属アレルギー(歯科金属など)
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ストレスや生活習慣の乱れ
これらが免疫を刺激し、皮膚に炎症を起こすと考えられています。
【症状】
掌蹠膿疱症の症状は掌や足の裏に次のような症状が出ます。
重症な患者さんでは時に下腿(すね)や膝にも出ることがあります。
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赤みのある小さな斑点が出る
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その上に白っぽい膿疱が出てくる
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膿疱が乾いて茶色いかさぶたになる
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皮がむけて再び赤くなる
伴いやすい症状
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かゆみ:我慢できず掻いてしまうと悪化しやすい
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痛み:皮が厚くひび割れると歩行や物を握るのがつらい
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爪の変化:爪が濁ったり変形することがある
【合併症:掌蹠膿疱症性骨関節炎】
一部の患者さんでは、皮膚だけでなく関節に炎症が起きる「掌蹠膿疱症性骨関節炎」がみられます。
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胸の真ん中(胸鎖関節)が痛む
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腰や背中がこわばる
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関節の腫れや痛み
皮膚症状が軽くても関節症状が強い場合もあるため注意が必要です。
【主な原因・誘因】
掌蹠膿疱症は、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
ただし、以下のようないくつかの要因が重なって発症すると考えられています。
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喫煙:ニコチンが免疫の働きを乱す
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慢性感染:扁桃炎、歯周病、副鼻腔炎など
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金属アレルギー:歯の詰め物やかぶせ物の金属
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免疫の異常:体の防御反応が過剰に働く
【診断】
皮膚科で診察を受けると、以下のような検査を行うことがあります。
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視診:皮疹の特徴を確認
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皮膚生検:組織を一部とり顕微鏡で観察
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血液検査:炎症や自己抗体の有無を確認
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アレルギー検査:金属パッチテストなど
他の皮膚病(湿疹、白癬、乾癬など)との区別が大切です。
【治療】
掌蹠膿疱症の治療は「症状を抑え、再発を防ぐ」ことが目的です。
まず、病巣感染や金属アレルギーなど、病気を悪化させる要因があれば取り除くようにします。
もし、これらの要因がわからない場合は、以下の外用薬から対症療法を行ないます。
症状が強い場合は強いステロイド軟膏を使用しますが、良くなってきたら弱いステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏に変更します。
皮疹が頑固な場合は紫外線療法などの光線療法や短期間のビタミンA誘導体の内服を行うこともあります。
外用療法
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ステロイド外用薬:炎症やかゆみを抑える
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ビタミンD3外用薬:皮膚のターンオーバーを整える
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タール剤や保湿剤:皮膚を守る
内服療法
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ビオチン(ビタミンH)やビタミンC
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抗菌薬(マクロライド系):慢性感染がある場合
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免疫抑制薬:重症例や関節炎を伴うとき
光線療法(PUVA、ナローバンドUVB)
紫外線をあてて炎症を抑える治療です。
関節症状への対応
リウマチ治療に使われる薬(メトトレキサートや生物学的製剤)を用いる場合があります。
薬の副作用への対応や、リウマチとの区別も必要なため、専門の内科に紹介させていただきます。
【生活習慣でできること】
治療とあわせて、生活習慣の見直しもとても大切です。
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禁煙:再発防止に最も重要
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歯や喉の治療:歯周病や扁桃炎の治療を受ける
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規則正しい生活:睡眠・食事・運動を整える
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ストレスケア:リラックス方法を見つける
【再発しやすい病気】
掌蹠膿疱症は、治ってもまた繰り返すことが多い病気です。
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長期的に皮膚科での経過観察が必要
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完治を目指すというより「うまく付き合う」ことが大切
【まとめ】
掌蹠膿疱症は、手のひらや足のうらに繰り返し膿疱が出る慢性の皮膚病です。
原因は一つではなく、喫煙、慢性感染、金属アレルギー、免疫異常などが複雑に関係しています。
治療はステロイド外用薬、ビタミン剤、光線療法などを組み合わせ、生活習慣の改善と並行して行います。
再発しやすい病気ですが、正しい治療とケアで症状を軽くし、日常生活を快適に送ることは十分可能です。
📌 ポイントまとめ
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掌蹠膿疱症は感染症ではなく、他人にうつらない
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喫煙・歯周病・扁桃炎などが発症に関与
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治療は薬・光線療法・生活改善の組み合わせ
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関節炎を伴う場合があるので注意
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長く付き合う病気だが、うまくコントロールできる
文献
- 清水宏. あたらしい皮膚科 第3版. 2018.
- 掌蹠膿疱症診療の手引き 2022. 日皮会誌. 2022.
- 掌蹠膿疱症ネット https://www.kansennet.jp/ppp/
