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小学生/学童期(7歳~)の肌トラブル

学童期(小学生)の時期は、身体の成長とともに皮膚の状態も変化する時期です。
学童期の子供の皮膚は、成長と共に皮膚バリア機能は強くなっていますが、まだ乾燥しやすい状態です。
予防接種により急性発疹症は見られなくなります。
アトピー性皮膚炎は引き続き見られますが、症状の出る部位が幼児期と変わり、肘や膝の内側、首、脇の下などの関節部分に湿疹がでてきます。
また小学生は学校生活などの集団生活が増え、感染症や外部環境の影響による皮膚トラブルが増えることが特徴です。
学校に投稿してよいかも問題になります。
お友達との関わりが増えるため、顔などの皮疹は、心の負担になることもあります。


学童期のお肌の特徴

学童期の肌はさらに成長していますが、乾燥が目立ち、代謝の変化で皮脂や汗のトラブルなどが増えてきます。

バリア機能の向上

成長にともなって皮膚の厚みが徐々に増加し、外的刺激に強くなりますが、大人の肌よりはデリケートです。

皮膚の乾燥傾向

小学校低学年は、まだ皮脂の分泌が少なく、乾燥しやすい状態が続きます。特に手足がよく乾燥します。

汗腺と皮脂腺の活発化:

活動量が増えることで汗が増え、病気の原因になることがあります。
小学校高学年になると、思春期に向け皮脂の分泌が増加し、にきびなど別の皮膚トラブルが増えてきます。

外遊びや集団生活による影響

生活面でさらに、集団生活や外での活動が増えるため、紫外線や汚れ、感染症のリスクが高まります。

 


学童期によく見られる皮膚トラブルと病気

汗によるトラブル

 あせも(汗疹)

首や背中、脇の下などに、汗が多い部分に小さな赤いプツプツが現れます。
汗をこまめに拭き取り、通気性の良い服を選ぶなど、涼しい環境を整えることが大切です。

かゆみを伴う皮疹

かゆみを伴う湿疹/アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎

幼児期より乾燥が目立つようになり、ざらざらした肌になります。肘の内側や膝の裏、首などの関節部分に乾燥した赤い湿疹が現れます。
かゆみが強く、掻くことで症状が悪化することがあります。

アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイドの塗り薬で炎症を抑え保湿剤でスキンケアをすることが基本です。
夜にかゆみで眠れないときなどは、かゆみ止めの飲み薬も使用します。最近は免疫抑制剤の塗り薬や強力な注射薬も使用できるようになってきました。
アレルゲンやストレス、衣類など外的な要因も考えて行く必要があります。
詳しくはアトピー性皮膚炎のページをご覧ください。

強いかゆみがあり、皮膚の盛り上がりが出たり消えたりする/じんま疹
じんま疹

突然、かゆみを伴う赤い皮膚の盛り上がりが一時的に出現します。いろんな場所に出たり消えたりするのが特徴です。

抗ヒスタミン剤の飲み薬で治療します。原因(アレルゲン)が特定できる場合は、そのアレルゲンの摂取でより強いアレルギー反応来す場合があるので、摂取を避けなければなりません。しかし必ずしも原因が特定できない場合もあります。
慢性化する場合は医師の診察を受けましょう。

表面がつるっとした小さなイボ/水いぼ
 水いぼ

ウイルスが原因で、触ると他の部分や他の子供にも広がつこともあります。共用のタオルやおもちゃを介して、プールや幼稚園などの公共の場で感染が広がります。
肌荒れが強い赤ちゃんは特に注意が必要です。早めに皮膚科にご相談ください。

かゆみのある汚い水ぶくれ/とびひ
とびひ(伝染性膿痂疹)

は、痛んだ皮膚に細菌(黄色ブドウ球菌や連鎖球菌)が感染して起こる病気です。
抗生剤の飲み薬や外用薬を使い早めからしっかり治療することが大切です。
感染が広がらないように、爪を短く切ったり、タオルや衣類を家族と分けるなどの対応が必要です。早めの受診をお勧めします。 

頭のかゆみ、髪に白いブツブツ/頭しらみ
頭しらみ

人の髪から直接に、あるいは寝具やタオルなどを介してアタマジラミが感染して発症します。
アタマジラミを死滅させるために、専用のシャンプーを2~3日に1度のペースで2週間ほど使用します。
また、クシや手で髪に付着した卵を除去します。

熱を伴う全身の皮疹

予防接種により急性発疹症は見られなくなりますが、低学年はりんご病などは見られることがあります。
学校での流行での手足口病がよく見られます。

口の中や手足に痛みがある水ぶくれ状の小さなブツブツ少し熱がある/手足口病
手足口病

2歳頃までに多い病気ですが。学童でも流行することがあり、夏に多く見られます。
エンテロウイルスという夏かぜを起こすウイルスの仲間による感染です。
軽い熱と共に、掌や足の裏、口の中に痛みを伴う小さな水ぶくれが出現します。
自然になおりますが、痛みで食事をとりたがらないことがあり脱水症状がある場合は点滴が必要になることもあります。
皮疹が治った後も、2~4週間も便にウイルスが排出されるため、糞便の始末、手洗いの励行など日常生活の注意指導が必要です。
下痢、頭痛などの症状がなければ、学校を休む必要はありません。

外部刺激によるトラブル 

接触皮膚炎

植物や金属などに触れた部分が赤くなり、かゆみや痛みが出ることがあります。原因物質の刺激や、それに対するアレルギで起こります。
原因となるものを避けることが大切です。

外で遊ぶときのトラブル

この時期の子供は活発に外で遊びます。特に夏場は肌の露出も多く日焼けや虫さされなどが問題になります。 

日焼け

紫外線対策は美白目的ではありません。生涯にわたり健やかな肌を保つために大切な生活習慣です。
この時期は未熟な皮膚であるため光の影響をうけやすく、青年期までの紫外線が皮膚がんのリスクになりま

虫刺され

虫に刺されることで、皮膚で炎症が起き、差し口を中心に痛みやかゆみ、赤みや腫れ、ブツブツ、水ぶくれなどの症状が出ます。
症状の程度には虫の種類や、年齢体質で個人差があります。
何かに刺されたら、患部をこすらず冷水で洗い、よく冷やします。
かゆみが強くばあい、掻き壊して、細菌による二次感染を起こしたり、痕が残ったりします。
治りにくい場合は専門医を受診してください。

学童期のスキンケア

お子様の肌を健康に保つための基本的なスキンケアを紹介します。
学童期に入っても、入浴時のスキンケアのポイントは同様で優しく洗うことと保湿です。
ただし、学童期、特に思春期になると、自分でしなければならなくなります。
本人の理解が大切です。スキンケアの重要性と正しい方法を本人にもわかりやすく説明しましょう。
昔と違い日焼け対策も重要です

洗浄
  • ぬるま湯(38~40度)で弱酸性で低刺激性の洗浄剤をよく泡立てて優しく洗います。
  • 汗を掻きやすい首や脇の下をしっかり洗います。
  • こすって洗う必要はありません。
保湿
  • 入浴後5分以内に保湿剤を塗ることが重要です。
  • 白色ワセリンや保湿クリーム、乳液タイプなど肌に合ったものを使いましょう。
紫外線対策
  • 乳児の皮膚は大人と比べ薄くバリア機能が弱いため、外出時には帽子をかぶる、長袖を着る、日陰を利用するなどの物理防御対策をしましょう。
  • 日差しの強い昼間の外出時はしっかり、対策をしましょう。
  • 日焼け止めのUV 防止剤は,紫外線散乱剤と吸収剤の 2つに分けられます。。
    散乱剤は白くなるものの接触皮膚炎を起こすことはまれです。吸収剤は、まれに接触皮膚炎を生じる場合があり注意が必要です。
    子どもの場合は安全性を重視し,散乱剤のみを使用した"ノンケミカル"あるいは,"紫外線吸収剤無配合"のものを選びましょう。
    はじめて使用する場合は、まずは限られた範囲に 2,3 日塗ってみて、かぶれたりすることがないか確認し、問題なければ広い範囲に塗るのが安全です。

  • プール授業は紫外線の強い季節に,もっとも肌を露出して行われるので,紫外線防御対策が重要です。
    学会からプールでのサンスクリーン剤の使用を求めており、徐々に日焼け止め使用を許可する学校が増えています。
衣類選び ヒートテックに注意

通気性が良く、柔らかい素材の衣類を選び、汗をかいたらこまめに着替えさせます。
汗をかきやすいのであまり厚着をさせないことも大切です。
肌が弱い子のヒートテックは注意が必要です。子供は汗をかきやすく、 ヒートテックの吸湿発熱のために、皮膚がさらに乾燥して刺激に弱くなり、かゆみが出るすることがあります。

学童期の皮膚疾患予防のポイント

  1. 清潔を保つ: 毎日の入浴や手洗いで肌を清潔に保ちます。高学年になると皮脂も増えるため確りとした洗浄も大切になります。
  2. 適切な保湿: 肌の乾燥を防ぐため、日常的に保湿ケアを行います。
  3. 汗のケア: 汗をかいたらこまめに拭き取り、着替えをさせます。服の洗濯もお肌の状態にあわせ注意しましょう。
  4. 環境整備: 活動量が上がるため確りとした日焼け対策、虫除け対策。学校や習い事などでの感染症をうつさない配慮も大切です。
  5. 爪を短く切る: 掻き傷を防ぎ、肌を保護します。
  6. 栄養バランスの良い食事:ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取することで、皮膚の健康を保ちます。
  7. ストレス管理:学校生活や友人関係からくるストレスは皮膚疾患を悪化させます。親子での話し合いも大切です。

皮膚感染症と学校登校基準

感染症 出席停止の必要性 登校の目安
麻しん 出席停止(右) 発疹が消失するまで
風しん 出席停止(右) 解熱後3日を経過していること
水痘 出席停止(右) すべての発疹が痂皮化していること
伝染性紅斑 出席停止の必要なし 発疹のみで全身状態が良い場合
手足口病 出席停止の必要なし 発熱や口腔内の症状がなく普段の食事がとれること
単純ヘルペスウイルス感染症 出席停止の必要なし 症状が軽度であり、マスク着用などで感染予防を行う場合
帯状疱疹 出席停止(右) すべての発疹が痂皮化するまで
伝染性膿痂疹 出席停止の必要なし 外用薬で処置し、浸出液がしみ出ないよう適切に覆われている場合
伝染性軟属腫 出席停止の必要なし 感染部位を適切に覆うことで感染予防が可能
アタマジラミ症 出席停止の必要なし 感染部位の早期治療が推奨される
疥癬 記載なし 治療開始後に登校可能
皮膚カンジダ感染症 記載なし 症状が軽い場合には特別な措置は必要なし

文部科学省・厚生労働省:2018年3月)

学童のお肌 Q&A

Q. あせもがよくできるのですが、どう予防すればいいですか?

A  汗をかきやすい時期は、通気性の良い服を選び、着替えを頻繁にさせましょう。
また、汗をかいた後はこまめに拭き取り、入浴で肌を清潔に保つことが重要です。

Q. かゆみが強くて夜も眠れない場合、どうすればいいですか?

A  かゆみが強い場合は、保湿剤を塗り、冷やして肌を落ち着かせましょう。それでも改善しない場合は、飲み薬や外用薬の使用も必要です。専門科を受診して、相談してください。

Q. アトピー性皮膚炎の子どもに日常で気をつけることは?

A: 毎日の保湿ケアを徹底することが最も重要です。乾燥を防ぎ、肌のバリア機能を保つことで症状の悪化を防ぎます。
毎日の入浴で肌を清潔に保ち、熱いお湯は避け、ぬるめ(38~40℃)の温度で短時間にしましょう。低刺激性の洗浄剤を泡立てて使い、ゴシゴシ洗わずに手で優しく洗います。
入浴後は5分以内に保湿剤を塗りましょう。

Q. アトピー性皮膚炎の子どもに食事に気をつけることがありますか?

 A アトピー性皮膚炎があるお子さんは後に食物アレルギーを発症しやすいことがわかっています。これは、アトピーで荒れた皮膚から食物抗原が入り込み感作(経皮感作)され、食物アレルギーを発症するからです。
また、これまでは「食べなければアレルギーにならない」と考えられていたのですが、これはむしろ逆効果なことがわかってきました。
今は、湿疹をしっかり治した上で「少しずつ食べることによりアレルギーになりにくくなる」ことがわかっており、適切な皮膚治療が重要です。

Q. 皮膚に赤い発疹が現れました。どのタイミングで受診すれば良いですか?

A 発疹が広がる、1週間以上続く、またはかゆみや痛みが強い場合は、早めに皮膚科を受診してください。また、発熱や元気がないなど全身症状を伴う場合も受診が必要です。

Q. 伝染性紅斑(りんご病)と診断されました。登園は控えるべきですか?

A  伝染性紅斑は発疹が出る前の時期が最も感染力が高いです。発疹が出ている時期は感染力が低下しているため、体調が良ければ登園可能です。

Q. つるつるした白っぽいブツブツ(水いぼ)ができました。治療が必要ですか?

A  水いぼはウイルス感染によるもので、治療しなくても自然に治ることがあります。ただし、広がる場合や周囲の子どもに感染させることもあります。
水いぼが広がると通院頻度が増えることもあります。早めの受診をして適切な処置を受けることをおすすめします。

Q. 水いぼと診断されました。登園や習い事は可能ですか?

A 水いぼはウイルス性の疾患で感染する可能性がありますが、基本的に登園は可能です。ただ、接触で他の子どもに感染する可能性があるため、治療が終わるまでプールを控えるのが安全です。

Q. とびひと診断されました。他の子どもにうつりますか?

A: とびひは細菌感染症で感染力が強いですが、抗菌薬治療を始めて24~48時間後であれば感染力が低下するため登園が可能になります。それまでは患部を覆い、他の子どもとの接触を控えましょう。

Q. 熱傷(やけど)が起きた場合、すぐにどうしたらよいですか?

A  すぐに患部を冷やし、冷やし続けましょう。最初のしっかりた冷却が大事です。水ぶくれは潰して、患部を清潔に保ちます。
重症の場合や痛みが強い場合は、早めに医師に相談してください。また、受傷部位を刺激しないよう保護することが大切です。

Q. 日焼け止めはどんなものを選べば良いですか?

A  幼児用の日焼け止めは「紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)」と表示された低刺激のものがおすすめです。屋外での軽い遊びならSPF15~30で十分です。

Q. 日焼けしてしまった場合、どうケアすれば良いですか?

A 日焼けした肌を冷やし、刺激の少ない保湿剤を塗りましょう。日焼け後の肌は乾燥しやすいので、しっかりと保湿することが大切です。ひどい痛みや腫れがある場合は医師に相談してください。

Q. 他に紫外線対策で気をつけることは?

A  紫外線の強い時間帯(午前10時~午後3時)は外出を控えるか、帽子や薄手の長袖を着用しましょう。日焼け止めは適量をこまめに塗り直すことが重要です。

Q. 子供の皮膚トラブルが頻繁に起こる場合、どうしたらいいですか?

A: スキンケアや生活環境の見直しが必要です。特に食生活やアレルギーの可能性について確認し、医師に相談することで適切なケアを受けることができます。

学童期のお子さんの皮膚で困ったら?

学童期の皮膚トラブルは、感染症や症状が持続する場合や悪化する場合は早めに皮膚科を受診することが大切です。
乾燥が多く見られる時期には、日常的な保湿ケアを習慣化や、お子さん自身へスキンケア教育が肌の健康を守るために重要です。
お子さんのストレス軽減や、スキンケアのためにお子さん良くコミュニケーションを取りましょう。
詳しくはお気軽に当院までお問い合わせください!

 


参考文献
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  • 伊藤明子. 小児のスキンケア.治療 2023. 
  • 大川 司.学校保健安全法、学校感染症の動き.皮膚病診療 2018.
  • 星野 雄一郎ら. 幼小児期の皮膚との付き合いかた. 薬局 2022.
  • 福田理紗ら.夏の子どもの皮膚トラブル.  チャイルド ヘルス 2022.
  • 小谷野豊ら.幼児および学童児の皮膚に関する実態調査. アレルギーの臨床. 2022年.
  • 上ノ土武ら. 動物による皮膚障害 学童期の皮膚病診療マニュアル. Derma 2008.
  • 高原正和ら.  学童期の真菌症 学童期の皮膚病診療マニュアル. Derma 2008.
  • 赤木竜也ら. 蕁麻疹とFDEIA学童期の皮膚病診療マニュアル. Derma 2008.
  • 占部和敬.小学生のアトピー性皮膚炎 学童期の皮膚病診療マニュアル. Derma 2008.

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