とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひ(伝染性膿痂疹)とは?
とびひ(伝染性膿痂疹)は、皮膚に細菌(黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌)が感染して起こる病気です。水ぶくれが急にできたあと膿をもち、破れてただれたり、かさぶたができたりします。
強いかゆみがあり、かきむしった手などにより、火が「飛び火」するように感染が広がり、他の人へうつることもあります。アトピーの人は皮膚が弱いため、とびひにかかりやすくとくに注意が必要です。
患部を石けんでやさしく洗い、抗生剤の飲み薬や外用薬を使い治療し、早めからしっかり抗生剤を飲んで治療することが大切です。
感染が広がらないように、爪を短く切る、タオルや衣類を家族と分けるなどの対応も必要です。
症状
伝染性膿痂疹は大きく2種類に分けられます:
水疱性膿痂疹
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- 黄色ブドウ球菌が原因菌です。
- 透明な水疱ができ、それが破れて薄い痂皮を形成します。
- うずくような強いかゆみがあり、掻くと患部がやぶれて、浸出液が出ます。
- 浸出液のついた手が体に触れて感染が広がります。
- 顔や手足などの露出部分に発症しやすく、夏に多くみられます。
- 全身症状は少ないですが、病変が広がりやすい特徴があります。
痂皮性膿痂疹
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- 化膿性連鎖球菌が原因菌です。
- 膿のたまった水ぶくれ(膿疱)ができ、厚い痂皮を伴う病変が特徴です。
- 強い炎症と痛みを伴い、発熱やリンパ節の腫れなどの全身症状を伴うことがあります。
- おとなにより多く、季節とは無関係に起こります。
主な原因
- 細菌感染: 黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌が傷口に感染することで発症します。
- 皮膚の傷: 湿疹、虫刺され、汗疹、掻き傷、けがなどがきっかけになります。
- 接触感染: 感染した皮膚に触れることで、他の部位や他人に広がります。
- 環境要因: 高温多湿、不衛生な環境がリスクを高めます。
予防方法
清潔を保つ
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- 石鹸を使って手をよく洗う。
- 汗をかいたらシャワーで体を洗い流す。
傷のケア
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- 湿疹や虫刺されをかきむしらないようにし、早めに治療しましょう。
- 傷口は清潔に保ち、絆創膏などで保護します。
接触感染を防ぐ
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- 感染部位に触れたら手を洗いましょう。
- タオルや衣類を共有しないようにしましょう。
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環境を整える
- 部屋を清潔に保ち、適度な湿度をたもちましょう。
治療方法
伝染性膿痂疹の治療は、病状や原因菌によって異なります。
外用薬
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- 軽症の場合、抗菌薬の軟膏(フシジン酸、オゼノキサシンなど)を患部に塗ります。
内服薬
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- 病変が広がっている場合や全身症状がある場合は、抗菌薬を内服します(セファレキシンなど)。
生活面での注意
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- 患部を覆い、掻きむしらないようにしましょう。
- 入浴時は泡立てた石鹸でやさしく洗い、患部を清潔に保ちましょう。
注意点
早期治療が重要:
症状が軽いうちに治療を始めることで、感染拡大を防げます。
二次感染を防ぐ:
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を併用し、掻き壊しを防ぎます。
学校や保育園への対応:
症状が軽減し、感染のリスクがなくなるまでは集団生活を避けます。
医師に相談するタイミング
- 症状が数日経っても改善しない場合。
- 病変が急速に広がる場合。
- 高熱や強いかゆみがある場合。
まとめ
伝染性膿痂疹は早めの治療と適切なケアで改善が期待できる病気です。症状が出たら放置せず、すぐに専門医に相談しましょう。清潔な生活環境を保つことが感染予防につながります。私たちのクリニックでは、伝染性膿痂疹の診断や治療を丁寧に行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- 清水宏. あたらしい皮膚科. 2018.
- 馬場直子. 伝染性膿痂疹の病態と治療. 皮膚科の臨床. 2022.
- 小松充孝. 小児における伝染性膿痂疹の診療. 小児内科. 2022.
- 吉田和恵. よく見る皮膚疾患とその治療. Medicina. 2020.
- 五十嵐成. 溶連菌感染症の最新知見. 小児科診療. 2024.
- 中村健一. 小児感染症の皮膚トラブルと対応. 治療. 2023.